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商品説明 プリパス「知恵の館文庫」では,新シリーズ「モノグラフ講義録」を立ち上げることになった。PrePass Monograph in Mathematics である。モノグラフとは,ある一つの問題に関する研究を記した研究論文のことをいう。数学の講義のなかでも,テーマ・トピックを絞り込んだ特別講義は,モノグラフと呼ぶにふさわしいので,このように命名した。 私は大学受験指導を含めて、算数・数学の指導を総合的に行っており、特にマーケットのニーズが高い東京大学の受験指導に関しては、新制大学入試になって以降の70年間あまりの数学の問題をすべて解き倒して把握をしている。試験の形式も傾向もさまざまに変遷しているが、二次試験が現在の形態になったのは1970年代後半からの、ここ40年ほどのことである。その間にも、難易度や出題傾向の変化はあった。 平成29年(2017年)2月入試では、理系数学・文系数学ともに難易度において大きな変化があった。解けばすぐ分かるような「易化」が生じたのだが、これは意図して行われたものである。数学の問題が難しいと、数学の実力者が合格するように思われるだろう。しかし、違うのだ。数学の問題が難しいほど、数学ができない人に合格のチャンスが生まれる。東京大学が、こういう事象を否定してきたのである。 大学では、入学者の成績を追跡して把握できるので、入試が妥当なものであったかどうかを判断し、翌年以降の選抜に反映させる。数学の問題を(一見して)易しくすることで、数学ができない東大生が生まれないようにするという目的を、一定程度達成できたようである。しばらく、この方向性が続くであろう。そうなれば、私たち指導者の側も、そのような大学の選抜目的に合致した受験指導を行うことが必要となる。このような動きに、いち早く迅速に対応したのが、この一年の受験指導であり、その最後を飾るのが講座である。
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